年始早々風邪をこじらせて体調を崩してしまい更新が滞っていましたが、ちょっとずつちょっとずつ書きながらようやく完成させました。はっきり言って無駄にとても長いのでとても疲れると思いますが、目薬片手に読んでいただけたら嬉しいです(笑)。心してどうぞ♪

WONDA presents
桑田佳祐 LIVE TOUR 2007 呼び捨てでも構いません!! 「よっ、桑田佳祐」SHOW
supported by ショコライフ
2007.12.31 at 横浜アリーナ
ライブレポート
年越しライブに参加出来る時は、仲間とほとんど年越しそば~カラオケ~ライブという流れになっている。今回もその必勝パターン。大いなるマンネリだが、私達にとってはこれがもっとも正月らしい過ごし方だ。カラオケはもちろん桑田ソロ縛り。これから魅せられる期待感と、終了後確実に襲ってくるせつなさを想像しながら皆熱唱していた。「もう2007年も終わっちゃうんだね、早いな~。」などというお約束な会話が出来ることにも、とても幸せを感じていた。
会場前には桑田さんとカウントダウンをすることが許された人達が、開場しているというのに溢れていた。待ち合わせする人、パネルで写真を撮る人、コスプレを見せ合う人…。寒さも感じさせず皆一様に笑顔だったのが印象的だった。今考えればそれはライブの内容を暗示していたのかもしれない。私達は「良いお年を!」と、これまた必勝パターンの挨拶をしてそれぞれの席へ向かった。
スタンド・北の席に座り、ワンダのCMや『ダーリン』のPVをBGMにしながら臨戦態勢を整える。Tシャツになりバッジを付けつつウェーブに参加したりと、慌しく2007年が過ぎていく。キョードー横浜の方の注意事項にさえリアクションを見せるオーディエンス。ボルテージがMAXになったのを見計らったかのように場内が闇に包まれた。思い思いの台詞が入り混じった歓声が響き渡ると同時に、緩やかにまこっちゃんがギターを弾き始めた。この、何の曲か分からずに記憶を辿る瞬間が堪らない!そして彼が呟いた…。
さぁ部屋中を暗くしてくれ
横浜の夜を君と過ごそう
俺の歌を聴いておくれよ
Oh oh oh…
さぁ部屋中を暗くしてくれ
今逢いたい人はいるのかい?
一番逢いたい人は誰だい?
Oh oh oh…
M1. 哀しみのプリズナー
M2. BAN BAN BAN
M3. いつか何処かで(I FEEL THE ECHO)
よくよく考えてみればストレートど真ん中なM1。しかしどちらかといえば内向的なこの曲をショーとしてのオープニングに持って来るには、上記のイントロダクションに直筆と思われる英訳の演出は大正解だったと思う。この大好きな曲を檻の中で囚われの身になりながら歌う桑田さんは神々しくさえ見え、鳥肌が立った。そして長年分からずカラオケでも誤魔化し歌っていたコーラスの部分「We're in our sail. Like living in a jail.」が分かったのも嬉しかった。次のカラオケでは格好良く決めよう(笑)。ただ少し残念なのは最後の「言葉にならない~」の部分がカットされてたこと。(「裸になれない~」もだがこちらは毎回カット。もちろんこの部分も大好きで、出来れば歌って欲しかった。)完璧だっただけに心が残った。
そしてソロライブでは定番のM2。桑田さんは階段を降りるなり早くも2曲目でステージ両サイドへと駆けつける。そのためか今回はキーをやや落としたバージョンになっていた。(「Xmas LIVE in 札幌」でもそうだったかも。)観客とのハイタッチやハグはスタンド席では叶う訳も無くジェラシーさえ感じた。もちろん参加しているだけでもありがたいことなのだが。
ファンなら3曲目が年越し曲なのは分かっている。それだけに期待も否応無く高まってしまうのだが、誰もがハイテンポな曲を予想したであろう中、序曲に続いて流れてきたのはM3だった。桑田さんはセットリストを考えている時に、果たしてカウントダウンの存在は頭にあったのだろうか?それとも分かってた上でしっぽりと年を越したかったのだろうか?定かでは無いが、狂喜乱舞して新年を迎えたかった私にとっては少し物足りなかった。ただバックスクリーンに映った歴代の桑田さんの写真は反則だ。桑田さんの表情だけで思い出が走馬灯のように甦ってしまうほど、自分の中では桑田さんの曲は密接なものなのだと、とても感傷的になった。そして改めて名曲だと思った。
曲もしっかり終わってのカウントダウン。秒数が表示されれば盛り上がらずにはいられない!3・2・1、2008年おめでとーっ!!天井からは大量の風船が降ってきて…、あれっ?スタンドには落ちてこない。(T_T)ハイタッチやハグだけでなくここまで差別するか?(笑)結局数曲後に心優しい係員さんが風船を持って来てくれることになるのだが、やっぱり同じ時に盛り上がりたいのがファンの性。ちょっぴり疎外感で寂しく、『一月一日』を歌った。
M4. 男達の挽歌(エレジー)
M5. NUMBER WONDA GIRL ~恋するワンダ~
M6. MY LITTLE HOMETOWN
MC明けの3曲はいずれも2007年シングル3部作のカップリングから。
M4は1曲目や年越しソングでも似合いそうな曲。スポンサー的には無理なのかも知れないけど、M5のようにCMがスクリーンに流れたら会場が沸いただろう。(沸いてない、という意味ではない。)記憶が確かなら桑田さんはギターを持って歌っていたと思うのだが、私の勝手なこの曲のイメージは「夷撫悶汰レイトショー」の第2幕のようなスタイル。コーラス女性を従えて“歌手”に徹して欲しい願望がある。今回ギターがまこっちゃんだけ(例外もあったが。)なので仕方が無いのかも知れないけど。やや印象が薄くなってしまった感があるが、やはり私はこの曲が好きだ(笑)。
大方の予想で、誰がこの位置にM5が来ると思っていただろう?この曲の官能や疾走感、そしてツアータイトルにもスポンサーを冠していることから誰もが後半畳み掛けの部分に予想していたに違いない。そういった意味ではとても勿体無く思った。もちろん始まってしまえばこれまた大好きな曲なのでノリノリ状態になってしまうのだが。最後の方ではワンダCMのCG合成シリーズがスクリーンに。すっかりコミカルなCMの使用曲になってしまったが、一番この曲の世界観が合ってたのはイントロ部のみの発売事前告知CM(ティザー広告)だったと思う。またこんな刺激的な曲を待っている。
『ダーリン』購入時、CHIYAMAのご主人にネタばれ(笑)されてしまったM6。実はライブで演るのは微妙だと思っていたので、とても嬉しかった。去年の8月から茅ヶ崎に住むようになって初めて購入したシングルが『風の詩を聴かせて』。その中に茅ヶ崎のことを歌った同曲が入っていたことは、勝手に運命を感じていて自分の中でとても感慨深い1曲になった。茅ヶ崎の原風景や桑田さんの幼少時代の写真が、楽しくせつない曲のイメージに拍車をかけていた。今度いつ演奏されるのか分からないので、曲に乗るというより大切に聴くのに集中した。
M7. MERRY X'MAS IN SUMMER
M8. スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)
M9. Blue~こんな夜には踊れない
M10. O Come, All Ye Faithful(神の御子は今宵しも)~白い恋人達
レゲエ繋がりなのか次の曲はM7。NHKライブ同様、掛け合いは健在。“剥けてな~い”等をリハで面白そうに打ち合わせしている姿を想像すると、何とも微笑ましい。爆笑を狙わず敢えて失笑を選んでるところはやっぱりミュージシャンなんだなぁ、と思う(笑)。そして飽きさせたくない桑田さんのサービス精神の賜物とも思う。ただ最後の“イェーオッ!”の掛け合いが無くなったのはちょっと寂しかったかな。
大体序曲から入るM8。今回はまたろうさんのドラマーのようなパーカッションソロからサンバチックに入った。聴く度に改めて、楽曲的にこの曲は完璧だと思う。今回のバージョンの私的な壺は、「Woman, Say!!」のところが「Everybody Say Yeah!!」になってるところや、最後の「Won't you~」の次に「Don't you~」が入ったところ。(NHKではそれぞれ×2だった。)こういう細かい変更もファンにとっては堪らない。
続いても披露される毎にアレンジが変わるM9。盛り上がるはずのサビがメロディ的に低くなるこの曲は、本来ならライブ向きではないのかも知れない。(実際カラオケでは苦戦。笑)でもその変わるアレンジによって映えるように化けさせているところは流石。今回はダンサーをスクリーンの中に留めていたのも印象的。(サザンとの差別化を考えてかも。)コーラスとホーンセクションによって正にショー化していた。
良い意味で下世話なM9とは180度違うM10にシフトチェンジ。その役目を果たしたのはバンドメンバーによって歌われた賛美歌。急展開の流れにどうしてもこの序曲は必要だったのだろう。終わる頃、狙い通り私は“白恋モード”になっていた。すっかり冬の、そしてクリスマスのスタンダードナンバーとなったこの曲。喉は決して本調子では無かったと思うが、だからこそ絞るように体を揺らしながら歌う姿にとても感動した。何人もの人がこの曲から勇気や希望を貰ったことだろう。世に産み出してくれて感謝さえしたくなるような、名曲だと思う。
M11. こんな僕で良かったら
M12. 遠い街角(The wanderin' street)
まこっちゃんの誕生日のお祝いという、嬉しいサプライズもあったメンバー紹介が終わり、桑田さんの決め台詞で始まったM11。NHKライブで初披露された時は想像以上にライブ映えしていて驚いた。ビッグバンド編成の質感をロックバンドで再現出来るのか要らぬ心配をしていたのだが、本当に余計なお世話で見事だった。もちろん横アリでもそれは変わらず、ワルツや変拍子等、原曲を忠実に再現していた。ギターソロは桑田さんのを聴いてみたかったがそれは欲張り過ぎかも知れない。
オマージュ的なCarpentersの『(They Long To Be)Close To You』のフレーズを序曲に、M12を披露。やはりこの曲を聴くと、あの両手で四角を作る仕草が印象的なフジカラーのCMを思い出す。時の移ろいや儚さを、セピア色のサンドアートのような映像が一層せつなくさせていた。『Ya Ya』にも通じる、この何とも言えないもどかしさや懐古的な世界は桑田さんの独擅場だと思う。まるで短編映画を観ているような感覚になった。
M13. 地下室のメロディ
M14. 東京ジプシー・ローズ
アルバム「ROCK AND ROLL HERO」から桑田さんがセレクトしたのはこの2曲。
バロック調のパイプオルガンのような音色のイントロダクションから放たれたM13。その音色はいつしかサイケデリックなものに変貌し、会場全体が‘魔法に魅せられた’ように空気が変わった。今回はアルバム未発売でのツアー。なのでシングル以外の選曲にどうしても注目してしまうのだが、その内の1曲が大好きなM13だったのは嬉しかった。そしてこの日初めての桑田さんによるギターソロが炸裂!上手い・下手じゃなく弾いている姿の様式美(笑)に痺れる。もちろんこれはファン心理なのだがギタリスト・桑田としての姿もいつまでも見たく、それはM15でも叶えられることになる。
2007年9月30日の記事で演って欲しい曲として挙げていたM14。角田さんのベースラインですぐにこの曲と分かり鳥肌が立つ。と同時に2本のギターがオクターブ違いで合わせて行く。もう“格好良い”としか表現出来ないボキャブラリーの無さが悔しい。それほど素晴らしい曲だと思う。原曲とほぼ同じアレンジだったのはそれだけこの曲の完成度が高いということなのだろうか、それも嬉しかった。サビでは歌詞に使われている漢字がバックスクリーンに飛び交い、疾走感と呼応していた。火柱の中響き渡るまこっちゃんのギターソロも圧巻。原曲以上にテクニカルなソロは凄かった。生で聴くことが出来て本当に良かった。
M15. 東京
M16. 月
ダークな雰囲気はそのままM15へ。片山さんが叩く鍵盤がまるでスクリーンに降っている雨を表現しているかのように確実に刻まれていく。映像はPVの世界観を壊さないように、交通渋滞や工事現場等を断片的に見せていく。その中で桑田さんのボーカルが響き渡る。特にサビの「Just wanna do ya, I gotta do ya, Ah…」の枯れたファルセットは特筆すべき点。曲に合わせてファルセットの表現を変えているのだと思う。綺麗な裏声ではこの曲には似合わない。だからわざと枯れさせているのだ。そしてM13に続きギターソロ。こちらは「けいすけさん」ツアーに比べ途中の溜めも無く、意外と淡白に終わった。そして一緒に口ずさみながら「えっ?」と思った人も少なくないだろう、M1に続き最後の部分「Ah, ah, ah…雨よこのまま~」がカットされていたのだ。これは非常に残念。何か理由でもあったのだろうか?
雨が上がり拓夫さんのハープと共に雲の切れ間から蒼い満月が姿を現した。もちろんM16だ。アコギ1本でも充分情感が伝わるこの名曲、バンドメンバーの音や映像と重なりとても贅沢な気さえしてしまった。この曲が沁みて仕方が無い人生真っ只中の私だか、早く思い出の1曲にしたいものだ(笑)。もし今度披露される時があるなら、桑田さんのハープで聴いてみたい。拓夫さんのそれが悪い訳では決してなく、桑田さんの荒削りな奏法が好きなのだ。シングル発売時のテレビではそのスタイルで歌われ、痺れまくったのを覚えている。
M17. 風の詩を聴かせて
M18. 明日晴れるかな
M19. ダーリン
ここからは2007年ソロシングル3部作で固めた曲順。
波のSEと共に優しい音色で始まったM17。M6でも書いたがこちらに来て初めてのシングルで、とても思い出深い曲になった。もちろん映画「Life 天国で君に逢えたら」や観覧出来たMラバ赤レンガライブのこともそうだが、2007年夏中に日々生活していた様子が思い出される。ひとり日用生活品を買い揃えたりしたことやクーラーが壊れてて寝苦しかったことやサザンビーチでの花火をせつなく見たこと…、曲の内容と全く関係無いのにそんな思い出が浮かんでは消えるから本当に不思議なものだ。最後には飯島夏樹さんの屈託の無い笑顔や寛子さんのウェディングドレス姿がスクリーンに映し出され涙を誘った。大切に歌う桑田さんの姿も印象的だった。ちなみにPV(オリジナルバージョン)のあのオチは要らなかったと思う(笑)。
もう前奏が流れてきただけで涙腺が緩んでしまいそうなM18。赤レンガライブで初めて聴いた時には涙が溢れて仕方無かったが、今回はしっかりと心に焼き付けたかったので堪えながら聴いていた。ドラマ「プロポーズ大作戦」の主題歌として作られた曲ではあるが、それ以上に多くの人の胸を打つのは、誰しもが持っている悩みや不安に優しく語りかけてくれる歌詞に共感を覚えるからだろう。桑田さんは体を左右に揺らしながら、まるで観客の新たな一歩を後押しするかのように笑顔で歌い掛けていた。サビのホーンセクションが胸の高揚を増幅させ、この曲の広がりを彩っていた。「カモン!」という桑田さんの誘いに思いっ切り歌った「明日晴れるかな」というフレーズ、果たして届いただろうか?(子供達のSEは要らないと思う。汚れた私達の声だけじゃダメなのかな?笑)
そしてM19のイントロと同時に皆拍手も忘れて、予め付けていたバッジの点灯に奔走する。まさにこのツアーのために作られた曲で、全国を廻って“旅路はEnding”となる最終地・横浜での演奏は、メンバー達も観客達も感慨一入だったと思う。壮大な予定調和の「ドゥーン!」や五木ひろし・都はるみの振りも一緒に出来て嬉しかった(笑)。まるでライブが終わるような大団円のOutro部分でステージの照明が落とされると、会場は点滅する光の海になっていた。その余韻に浸ることも許されず、ライブは本編クライマックスへ…。
M20. 悲しい気持ち(Just a man in love)
M21. 波乗りジョニー
M22. 真夜中のダンディー
M23. ROCK AND ROLL HERO
畳み掛け1曲目に選ばれたのはM20。2回繰り返すイントロのアレンジはもうお馴染みで、弾けたいという飢餓感を煽る。そして解き放たれた会場は一気にトップギアにシフトチェンジ!ここでも桑田さんは左右のサイドへ走りまくる。大型スクリーンでしか動きが追えない席の私は、ただただ羨望の眼差しで観ていた。(せめて後方の席にも声ぐらいは掛けて欲しいものだ。)声が小さくなる「いついつまでも君は My sweet babe」をきっかけに飛ばされるテープももちろん欠片も来ない。恨み節にばかりなってしまうが正直な気持ち、桑田さんがサービスすればするほど温度差が出来るのも事実だった。こういうのを見せられると、オークションで高値で良席を買ってしまう心理も分からなくはない。
恨み節は次のM21でも続く。「みんなが好きです!」ツアーからの反動だろうか、過剰なまでのステージサイドへのサービスぶり。それはある意味最前列の人ですら羨みそうなものだった。もちろん座席の良し悪しは運によるものなのだが、いっそのこと料金に差をつけたらどうだろう?多少の諦めはつくかも知れない。曲にノッてはいたが、どこか冷めた気持ちでスクリーンを見ている自分が嫌だった。贅沢なことを言ってるのは重々承知な上で。
そういう意味では少し落ち着いて観れたM22。しかしここでもM1・M15のように2番の部分が丸々カット。NHKやMラバでは歌われていたと思うのだが、何故止めてしまったのだろう?ステージ全体に広がるカオス的映像や、「夢も希望も~」で「けいすけさん」ツアーの名残りの上に外す歌い方等、滅茶苦茶格好良かっただけに残念でならない。
そして桑田さんが本編ラストに選んだのがM23だった。このラスト2曲はもしかしたらE1への布石(前フリ)だったのかも知れない。振り返るとそう思ってしまうようなメッセージ色の強い2曲だった。もちろん観客はカースケさんのグイグイ引っ張るビートに狂喜乱舞し、そんなことはお構い無し。それにしてもこの曲、グラムロックという範疇を超えて、ソロライブには欠かせないお祭りソングへ昇華したなぁと感じた。またこの曲の見せ場の間奏のツインギターは、桑田さんではなく迷彩服の謎のギタリストが弾いていた。(「バニー」ツアーの『涙の海で抱かれたい』で出てきた人と同一人物?)いったい誰だったのだろう?余談だがラスト2曲はキリンとコカコーラのタイアップ曲。狙ったとしたら凄い(笑)。暴れまくった桑田さんは「サンキュー!」とひと言残し、ステージ中央後方へ消えていった…。
E1. 漫画ドリーム07
E2. ONE DAY
アンコールを待ち侘びる観客は光の海からウェーブ、そして拍手へと派生して行く。そのピークを見計らったかのようにステージに灯が点り、メンバーの再登場を知らせた。戻ってきた桑田さんが「もう終わっちゃうねぇ…。」と呟いた。この言葉がいかにツアーが楽しかったかを物語っていた。
その寂しさを振り払うかのように、馴染みの無いイントロのフレーズが始まる。スクリーンにはE1のタイトル。瞬間、ゾクゾクっとしたのは私だけじゃない筈。あの疾走感溢れるアコギのそれとは全く違うアレンジ!原曲が大好きな私にとっては高鳴る鼓動を抑えることが出来なかった。そして飛び出してきた歌詞は、年金問題・拉致問題・薬害問題など2007年の“悲しみのニュース”をぶった切る痛快な内容だった。そのメッセージを着実に伝えるためのスローなアレンジだったのかも知れない。歌がひと括り終わる毎に私は奇声(笑)と拍手を送っていた。それにしても桑田さんの世相を俯瞰で見る才能にはいつも脱帽してしまう。間奏の『THE COMMON BLUES ~月並みなブルース~』(今回演って欲しかった1曲。)を彷彿とさせるソロリレーもとても格好良かった。会場毎に歌詞が変わっていたらしいので、DVD化された時に全部収録して欲しいところだ。ただ今にして思うと“週に十日はボケた日本”のひとりとしては、諸手を挙げて喜んでる場合でも無いと自責の念に駆られた。
ゾクゾクは次の曲でも起こった。E2のイントロが流れたからだ。KUWATA BANDのライブ以降は封印され、それに参加出来なかった私にとっては本当に初めて聴く曲だった。ファンの間では桑田さんはこの曲を気に入ってないのではないかと噂されるほど、今までのソロライブでは披露されなかった。それだけに今回この曲が選ばれたことに驚いた。私も前述の記事で選んでいたので、心の中で「よっ、桑田佳祐!」と叫ばせてもらった。およそ20年の時を超えて解き放たれたこの名曲に心酔しきってその場に立ち尽くしていた。サビの「One day I found you.(或る日あなたを見つけた)Tonight I miss you.(今宵あなたがいなくて寂しい)」というシンプルな歌詞が本当に大好きで、何度と無く自分の恋愛に重ねたものだ。桑田さんの生声を聴きながら、心の深い部分に沁みてきて当時感じていたやるせなくせつない気持ちが甦ってきた。初日の福岡ではここで『影法師』を演っていたらしいが、予め2曲用意して観客のリアクションを見てこの曲にしたのだろうか?とにかく私にとって念願が叶って嬉しく、ラストのファルセットを聴きながら桑田さんに何度も感謝していた。
E3. 可愛いミーナ
E4. 祭りのあと
E5. 希望の轍
余韻に浸るかのように「小さな音で演ります」という桑田さん。アコギひとつで歌い始めたのはE3だった。このシンプルなアレンジに会場は大合唱。そして2番からバンドの音が入るというドラマティックなアレンジ。ロマンティックなこの曲にはぴったりだ。そして大サビとも言えるラストでは再びバンドの音が消され大合唱。歌うのと同時に着実にライブの終幕が近づいていることを思うと、とてもせつない気持ちになった。恐らくツアーに参加したほとんどの人がこの時に“時計を巻戻して”欲しいと思ったに違いない。でもそれは無情にも叶わず、『Be My Baby』のようなアレンジと共にラストの曲へ誘った。
ソロツアーのほとんどラストを飾っているE4。それを知っているだけにお別れを言われたようで複雑な気持ちになる。ラストとしては王道中の王道だが、“桑田佳祐SHOW”としては納得の曲だった。例えばここで『誰かの風の跡』『JOURNEY』『ありがとう』というアルバムラストを飾るバラッドだったらどうだっただろうか?結果論に過ぎないのかも知れないが、少し違う気がする。ある意味『クリといつまでも』ぐらいぶっ飛んでくれたらまだ分かるが(笑)、やはり次(サザン)へ踏み出すためには明るい曲調で終わりたかったのかなと、個人的に思った。最後のサビの「愛する~」でブレイクして「横浜の慕情」というのは、各地の名前が入ったと思うけどやはり粋なアレンジ。(ホットハウススーパーアリーナでは“仙台”だったのかな?厳密には仙台じゃないらしいけど。笑)大歓声の中、ショーは幕を閉じた。
『ダーリン』の流れてる中、一列になって私達に挨拶をしてくれているメンバーに向けて惜しみない拍手を送った。メンバーひとりひとりに握手をしながら見送る桑田さん。この別れの光景はいつ見てもせつない。帰り難い思いで小さい桑田さんを見つめていると、スタッフの方がエレキギターを持って駆け寄って行く姿が!絶対終わりだと思ってた私達に、お年玉のE5を弾き語りでプレゼントしてくれたのだ。考えてみればNHKやMラバでも最後に披露してくれたスタイルで、エレキを持った時点で気付きそうなものだがその時は想像出来なかった。
批判を承知で言うが、私はソロで演るサザンの曲が好きではない。(厳密に言えばE5はサザンの曲ではないが。)メンバーがいてこその楽曲だ。サザンのライブだけでも食傷気味のE5だと分かった瞬間、Mラバライブの時もそうだが正直がっかりした。何故ここで、この曲なんだろう、と。でも、この広い会場のステージでエレキ1本で歌っている桑田さんの姿を見て、心意気というかファンへの感謝の想いが充分過ぎるほど伝わってきた。それは会場だけでなくWOWOWを観ているライブに参加出来なかった人達に向けてのメッセージだったのかも知れない。そして横浜アリーナで初めて完全な弾き語りで歌っている、その歴史的なシチュエーションに出会えただけでもとても貴重なことだと思った。曲が進むにつれそのような気持ちが高まり、桑田さんの気持ちに応えるようにいつしか会場の皆と一緒になって歌っていた。桑田さんは照れくさそうに時に崩しながら素敵な笑顔で歌い、最後の音を掻き鳴らして一先ずソロとしての活動を終えた。万歳三唱と「また逢おうな!!」という言葉を残し、桑田さんはステージを後にした…。
ライブを振り返ってみると、タイトル通りひとつのショーとしてとても素晴らしい内容だったと思う。新しいアルバムがあってのツアーではないので、選曲的にもとても納得のいくものだったし、これまでのソロ活動の集大成のような内容はサザンへの予告のようにも感じた。本編がソロ曲だけだったのもとても嬉しかった。また、セットと言っても過言ではないような映像演出も素晴らしかった。ステージいっぱいに広がったLEDのスクリーンはとても効果的でショーアップに貢献していたと思う。ちょっと気になったのは両サイドのスクリーンに出ていた歌詞の字幕。これはあまり知らない人への気遣いだろうか、全曲出されていた。どちらかと言えばメジャーな曲中心のライブで全曲表示となると、今後も続けられるような気がするがこの辺は賛否あるかも知れない。数箇所誤字もあったので気を付けて欲しいものだ。(最後のE5はハプニング感を出すためにも字幕は要らないと思った。)あとは会場全体(特に後方)がいかに楽しめるか、少しでも考えていただけたら嬉しい。でもそれを差し引いても素晴らしいライブだった。
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桑田さんを初めバンドメンバーの皆さん、スタッフ・関係者の皆さん、長いツアー本当にお疲れ様でした。そして素敵なライブ、本当にありがとうございました。もしかしたらもう“次”へ動き出してるかも知れませんが、お体には充分気を付けて、また素晴らしい音楽を届けてください。これからも全身全霊で応援して行きます!

コーヒー、美味しくいただきました♪